**クーポンを「安売り道具」だと思うな

― サロンブランディングを壊す使い方、育てる使い方 ―**

あなたのサロンでは、クーポンを使っていますか?
もしそれが 「新規向けの安売りクーポン」 だとしたら、
一度立ち止まって サロンのブランディング について考える必要があります。

クーポン自体が悪いのではありません。
“使い方”を間違えると、サロンの価値を自ら下げてしまう のです。


■ クーポン文化はどこから始まったのか?

もともと日本でクーポンを一般化させたのは、
マクドナルドをはじめとする飲食業界でした。

飲食業やスーパーには以前から
「特売」「セール」という文化がありましたが、
サロン業には本来クーポン文化はなかった のです。

しかしデフレの流れとともにクーポンサイトが広がり、
いつの間にか美容室も「安いクーポンで行く場所」になっていきました。

その結果、

「新しい美容室=まずは安いクーポンで試す」

という行動が当たり前になりました。


■ サロン業が安売りに向かない決定的な理由

ここが一番重要なポイントです。

量販店や飲食店は
商品を安くしても、
レジ打ちして渡すだけなので回転率で売上を作れます。

しかしサロン業は違います。

サロンは“時間の切り売りビジネス”。

  • カット=約1時間
  • カラーカット=約2時間

時間は増やせないため、
安くすればするほど売上は必ず下がる構造 なのです。

これは経営上、非常に危険な状態です。


■ 大型店と小規模サロンでは戦い方が違う

安売り集客は、

  • 大型店
  • スタッフ数が多い
  • 回転率を上げられる

この条件が揃って初めて成り立ちます。

個人店・小規模サロンにとって安売りは圧倒的に不利。

さらにクーポンサイト自体が
「新規客を流動させる仕組み」になっているため、

  • 1回目は割引
  • 2回目は通常価格

この流れで
「正規料金を払う気にならない」
お客様が増えやすくなります。


■ クーポンは「値引き」ではなく「提案書」

小規模サロンが取るべき戦略はこれです。

クーポン=お客様への提案書

  • 得意なメニュー
  • 本当に受けてほしい組み合わせ
  • サロンの考え方

これを メニュー提案として掲載する のです。

再来率を重視するなら、

  • 割引率は 0〜10%以内
  • 平均客単価を下げるクーポンは 値引き不要

値引きをしないことで、
技術とサービスの価値が上がります。

常時値引きは
ブランド力を確実に損ないます。


■ 日本の美容業界は「薄利多売」が最も危険

日本では、

  • 安くても
  • 高くても

ある程度の技術と接客が求められます。

つまり
安いから楽、という世界ではない。

結果として、

  • スタッフが消耗
  • クレーム率上昇
  • トラブル増加
  • 離職率アップ

という悪循環に陥ります。

実際、
安価なサロンほどトラブル率が高い
という傾向もあります。


■ 価格を守ることは、スタッフを守ること

価格を守ることは、
売上だけでなく 人材の安定雇用 にも直結します。

  • 無理な詰め込み予約をしない
  • 心に余裕を持って接客できる
  • クレームが減る

結果として、
サロン全体の空気が良くなります。


■ 結論

**クーポンは安売り道具ではない。

サロンの価値を伝える“営業ツール”である。**

  • 安売り集客は長期的に必ず苦しくなる
  • 小規模サロンほど価格を守るべき
  • クーポンは「提案書」として使う
  • 値引きしないことがブランドを作る

この視点でクーポンを設計することで、
サロンは 価格競争から抜け出し、
信頼と再来率の高い顧客
に囲まれるようになります。